財務部門にとって重要な EPM、CPM、コネクテッド プランニングを理解する

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企業パフォーマンス管理について学び、そのプロセスやシステムが全社的パフォーマンス管理に移行してきた理由を探ります。

企業パフォーマンス管理 (EPM、Enterprise Performance Management) は、プランニング、レポーティング、そして、ビジネス インテリジェンス (BI) ソフトウェアによってサポートされるプロセスであると定義されます。BI ソフトウェアは、企業が戦略をプランニングに反映し、実行に移すことを可能にするツールです。

近年の EPM のアプローチがその成果を認められはじめたのは 1990 年代。過去、現在、そして未来の情報、さらにビジネス ドライバーを組み合わせた EPM は、財務/運用計画のより包括的な手法として導入されるようになりました。EPM システムの主要な要素には、プランニング機能、予算編成機能、予測機能のほか、KPI のモニタリング、分析データの提供、レポーティングの管理機能が含まれます。

EPM ソフトウェアは、企業資源計画 (ERP、Enterprise Resource Planning) システムと統合するように設計されており、EPR の取引処理モジュールと併せて使用することで、さらに効果的な経営管理が可能になります。EPM システムは、財務と運用を連動させて事業計画を一元管理するうえで役立ちます。また、企業全体へのコネクテッド プランニングの導入を目指すうえで、その土台としての役割も果たします (下記で詳細に説明しています)。

EPM ソフトウェアを効果的に活用することで、財務計画/分析 (FP&A) チームは、計画と実際のパフォーマンスとのギャップを事前に把握し、その根本的な原因を探り、経営側と戦略的に連携し、タイムリーかつ信頼性の高いプランニング、分析、レポーティングを行うことができます。


EPM における傾向

1. 導入モデルには、依然として課題が存在しています。異なる導入モデル(クラウド対オンプレミス)を持つ、まったく新しい EPM ソリューションを世界各地の拠点の運用システムに導入するとなれば、従来のシステムとプロセスの大規模な入れ替えが必要になる可能性があります。これはかなり大変な作業であり、オンプレミスの場合、導入に 1 ~ 3 年 (あるいはさらに長期) の時間がかかる可能性もあります。幸い、Anaplan をはじめとする一部のソリューションは迅速な導入が可能であり、一般的にオンプレミス ソリューションの設置および運用開始までにかかる時間と比べると、大幅な時間短縮が期待できます。

2. すべてのイノベーションが、同じ価値や重要性を提供するわけではありません。クラウド ソリューションへの移行に加え、EPM は、ユーザー エクスペリエンスの単純化、ソーシャル コラボレーション、高度な分析、そして統合機能の四つの分野でイノベーションを起こしてきました。しかし、ほとんどの場合、これらの四つの分野の重要性は均等ではなく、Anaplan のお客様の多くは、各機能を次の順で便利だと感じているようです。

3. 統合機能。強固かつ分かりやすいデータ及びメタデータの統合は、非常に重要です。

4. ユーザー エクスペリエンスの単純化。市場には日々多くのテクノロジーが出現しています。ユーザーの業務をサポートし、効率性を高めるテクノロジーほど導入率が高まります。

5. 高度な分析。高速に動き続けるこの世界において、組織のリーダーは、計画プラットフォームにインサイトと柔軟性を求めています。そのため、シナリオや最も効果的な行動をすばやく評価できるツールが選ばれています。

6. ソーシャル コラボレーション。適切な人材を、適切なタイミングでプランニングに含めることができなければ、意思決定に遅れが出たり、誤った情報に基づいて決定が行われたりする可能性があります。

7. 企業にとって、柔軟な EPM モデリングは必要不可欠です。EPM における SaaS ソリューションの活用がますます一般的になる中、強固かつ柔軟なモデリング、IT 依存の削減、そして管理レポーティングといった機能が広く認識されるようになり、こうした機能を備えるシステムが競合に差をつけています。

EPM から CPM への移行

全社的パフォーマンス管理 (CPM、Corporate Performance Management) が EPM に取って代わり、略語は変わっても、その概念は変わりません。Gartner 社は、CPM を「企業の業績をモニタリング/管理するために使用される手法、評価基準、プロセス、及びシステム」であると定義しています。

戦略マップ、プランニング、活動基準原価計算、財務レポーティングなどを網羅する手法である EPM は、CPM という用語に変化し、業界は「CPM」を好んで使用するようになりました。CPM の実践をサポートするベンダーは、こうしたすべての手法を一つのプラットフォームで一元管理するために尽力しています。この変化により、CPM の分野では、次に挙げるような多くの進歩がありました。

  • ユーザーが必要な CPM 機能に単一のワークスペースからアクセスできるようになりました。
  • ユーザーが、財務、営業、運用、および人材部門用のアプリケーションを迅速にカスタマイズ及び導入できるようになりました。従来は財務中心であった CPM ですが、現在はビジネスのあらゆるエリアにその活用範囲が広がっており、財務チームが社内全体の意思決定者をサポートすることが容易になりました。
  • さまざまなデータ ソースを調整/同期する中央リポジトリとしての機能が向上し、ユーザーは、CPM 関連のすべてのニーズに信頼できる唯一の情報源を活用できるようになりました。これまで非常に困難であったことが、CPM の進歩によって可能になったのです。
     

「スイート主義」戦略の緩和

スイートこそ理想的な選択だという思考に囚われず、柔軟な検討が可能になれば、組織は自社のニーズにとって最適なソリューションを自由に選択できるようになります。クラウドは、この最善のアプローチにとって大きな推進力となりました。「ポストモダン」的な FP&A のアプローチが広まり、クラウド ネイティブ アプリケーションを活用した一元的な財務管理が可能になったことで、プラットフォーム間のギャップを埋めるために表計算シートを使用する必要性は徐々に薄れつつあります。

また、ソフトウェア スタックの概念を緩和することも可能です。それは、ERP とEPM/CPM コンポーネントは、その大部分で同様のプロセスが採用されているため、柔軟な統合が可能だからです。スイート中心のシステム体系から離れることで、各ビジネス ユニットが、企業の財務部門に依存することなく分析やレポート作成を行えるようになります。Anaplan は、企業の財務部門とビジネス ユニットの両方を共通のプラットフォームに組み込むことで双方のニーズを満たし、コネクテッド プランニングを実現します。
 

コネクテッド プランニング ソリューションの五つの特徴

企業は今、高度かつ使いやすいモデリング機能を備え、部門の枠を超えた複雑な事業ニーズに対応できる、クラウドベースの企業の計画プラットフォームを求めています。こうした企業の期待に応えるうえで、次世代の企業計画アプローチであるコネクテッド プランニングは非常に有効です。

コネクテッド プランニングによる管理アプローチを導入し、成功した企業は、さまざまな変化を経験しています。特に大きな五つのメリットを下記に紹介します。

1. 統合。企業ではすべての部門が計画に基づいて行動しています。企業の中には多様なニーズがあり、ワークフォース計画、営業報酬、マーケティング キャンペーン、プロジェクト計画、IT コストなど、統合の可能性を秘めた分野で溢れています。真のコネクテッド プランニング プラットフォームの導入は、統合面でメリットを発揮します。

2. 継続的なデータ処理。財務計画は生き物のように常に変化しており、リアルタイムの情報を活用することで生まれ変わります。テクノロジーのクラウドへの移行が進む今、企業はより高度なデータ統合ツールを利用できるようになりました。従来は一定期間ごとに処理されていたデータを、今は継続的な形で処理できます。

3. 連携的なプロセス。リアルタイムの情報が企業全体に共有されます。社内の全員が共通のテクノロジーやデータにアクセスできるため、表計算シートの使用によるエラーや非効率性を軽減できます。計画プラットフォーム内で連携的に作業を進めることで、ユーザーは仮説の精度を高め、データに基づいて迅速に行動することができます。

4. 予測分析。非生産的な作業に、これ以上チームの労力を割く必要はありません。従来型のシステムでは、人がすべてのプロセスを手作業で行う必要がありました。しかし、現在は、リアルタイムのインサイトや予測分析機能が利用できるようになり、計画/予測プロセスの生産性が向上しています。高度なテクノロジーが、予測アルゴリズムやシミュレーション機能によって多くの作業をこなしてくれるため、チームのメンバーはより価値のある仕事に集中できます。

5. 戦略的なプロセス。コネクテッド プランニングを導入すると、経営陣は成長の機会に集中できるようになります。企業の多くは、業績を伸ばすことに対して非常に大きなプレッシャーを感じており、カスタマー エクスペリエンスの改善に必要な取り組みがおろそかになっている場合があります。EPM、CPM、そしてコネクテッド プランニングのテクノロジーを活用すれば、ボトムアップの取り組みをトップダウン戦略と繋げ、ビジネスの目的と連動させることが可能です。
 

コネクテッド プランニングは、これまでの ERPやEPM、CPM の取り組みを、最新のクラウド ネイティブのソリューションを活用して行うための手段であり、企業全体を共通のプラットフォーム上で統合し、あらゆる計画ニーズを満たすためのツールなのです。

次世代の財務計画には、次世代のプラットフォームが必要です