ゼロベース予算編成 (ZBB) のための完全ガイド

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ゼロベース予算編成 (ZBB、Zero-Based Budgeting) の概要と、財務組織が会社の支出と戦略目標の足並みを揃えるために ZBB を利用している理由をご確認ください。

ゼロベース予算編成 (ZBB) は、年間予算を毎年ゼロから作成するプロセスであり、その中で、すべての要素が高いコスト効率を発揮し、関連性があり、コスト削減に繋がっていることを確認します。

効果的に導入すれば、ZBB はコスト管理の要として機能し、企業は、資源計画の改善や従業員エンゲージメントの向上、組織の連携体制の強化を実現できます。ZBB は、コスト削減の効果に注目が集まりがちなアプローチですが、必ずしも節約だけに焦点を当てているわけではありません。ZBB を導入すれば、仮説のシミュレーションや問題解決、そして会社の成長目標に見合った支出管理に役立てることができるのです。

効果的なアプローチによって ZBB を導入している企業からは、複数のメリットが報告されています。ZBB には、コスト削減効果に加えて、次のような六つのメリットがあります。

  • コスト削減と戦略目標に見合った支出管理によって企業の利益が増加する
  • 経営に焦点を当てたコスト管理が企業の成長を後押しする
  • 未来の企業状態の予測に基づく、先見的な資源計画が可能
  • 効果的な予算編成や、変化をもたらすための思考に対し、従業員エンゲージメントが向上する
  • 支出に対するマネージャーのアカウンタビリティが向上し、常にコストを意識する文化が育つ
  • マネージャーとプランナー全員の間に対話と連携が生まれ、経費の予算編成という共通の目標に向けて協働できる

ZBB を正しく活用することで、企業はコストを削減でき、節約した分の資金を将来の戦略的な取り組みや成長の加速のために使えます。この記事では、効果的に ZBB を導入し、企業の財政状況を改善する方法を紹介していきます。
 

ゼロベース予算編成と従来の予算編成の違い

一般的に、従来型の年間予算は、前年分の実際の数字を基に、そこに賃上げ分やインフレ率などの割合を加味して作成されます。こうしたシンプルな方法は増分予算と呼ばれ、コスト削減効果が小さくなってしまったり、大幅なコスト削減のチャンスを見逃したりする可能性があります。

従来型のコスト削減アプローチとゼロベースのアプローチの両方について、それぞれの原則を下記に簡単にまとめました。

従来型のコスト削減アプローチゼロベース予算編成アプローチ
廃止する活動を見極める維持すべき活動を見極める
より狭い範囲のコスト又はコスト削減ツールに範囲を集中するあらゆるコスト領域を調査し幅広いコスト削減ツールを検討する
活動のあり方の改善 (効率性/有効性)どの活動を実行する必要があるか(最小限にするため)、どのように実行するかを検討する
焦点を絞った取り組みの計画と実行を作成する詳細かつ包括的な取り組みの設計、計画、実行を開発する

 

ゼロベース予算編成のメリット

従来型の予算編成アプローチは、前年の予算を見返し、変更が必要な分野を探すところから始まります。この場合、時間をかけたり責任を明確にしたりしたうえで、それぞれの支出による影響について詳細に振り返る、というようなことは求められません。

ZBB の場合、マネージャーは、事業活動やプログラム、さまざまなサービスの実行にあたり、最もコスト効率が高い方法を考えるよう求められます。同時に、業務量の増減に合わせて資源を変更したり、余計な支出を減らしたりすることで、資源と戦略を連動させる必要があります。

これまでなぜ、ZBB のアプローチを実行することが難しかったのでしょうか。その理由は単純で、表計算シートや手作業では作業が複雑になりすぎるからです。さらに、従来の計画システムもその複雑さに拍車をかけていました。さまざまな構造が絡み合い、モデルを変更するために必要な柔軟性を確保できなかったのです。

しかしプランニング テクノロジーの進歩をきっかけに、企業は ZBB の導入を再検討するようになり、組織での活用が実現し始めました。特定の又は一般的な財務項目に限定されないモデリング 2プラットフォームを活用することで、企業は自社のプランニングのニーズに合わせてあらゆるプロセスをモデル化できるようになり、すばやく効果的に ZBB を導入することで、迅速で、柔軟かつ動的な、予算編成サイクルを実現することが可能になりました。

ZBB を導入している企業からは、10 %~ 25 %のコスト削減効果が報告されています。こうしたコスト削減は非常に重要で、これにより企業は、その節約分を利益の押し上げや将来の成長に向けた投資に活用することが可能になります。時にサービス水準の低下や、利益への悪影響に繋がりかねないトップダウン型の全社的なコスト削減の取り組みと異なり、正しいことを最もコスト効果の高い形で行うことに焦点を当てるのが ZBB の特徴です。ZBB を導入することで、企業はリスクの低いアプローチでコスト基盤を大きく変革しながら、将来の成長に必要なリソースと資金を十分に確保できるのです。
 

ゼロベース予算編成の五つの基本ステップ

ZBB を導入する際、企業は自社に適したアプローチを独自に設計できます。その際のたたき台として活用できる五つの基本ステップを紹介します。

1. 開始する:ゼロからプロセスを開始します。前年の実績データを基準値として使用することなく、白紙の状態から新しい年間予算を編成しましょう。

2. 評価する:すべての支出を再確認します。不要な活動やサービスを削除したり、減らしたりしましょう。

3. 正当性を確認する:予算の全項目の必要性を明確にします。コスト効果が高く、関連性があり、コスト削減に繋がる要素を特定しましょう。

4. 合理化する:どの活動を、どのように実行するべきか決定します。可能な場合はプロセスの自動化や標準化を行いましょう。

5. 実行する:最終的な計画を共有し、プロセスを実行に移します。計画、役割、責任を明確に伝えましょう。

 

ゼロベース予算編成のベスト プラクティス

  • 前向きなアプローチを採用する: ZBB はコストを削るだけの作業ではありません。これは、事業の体制を一新し成長を目指すためのリソースと資金を開放するうえで、必要なステップです。企業のリーダー陣と協働しながら、社内外のベンチマーキングを基に収益性のギャップを明らかにし、コスト削減への影響を精査しましょう。
  • 成果が出やすい分野を特定する:まずは、なるべく規模が大きく、安定したビジネス ユニットの中から収益性の面で課題を抱えている部門を選ぶか、又は金額の大きな間接費が発生し、その正当性が明確に把握されていない経費分野 (営業費、一般管理費など) を特定し、そこに焦点を当てましょう。こうしたアプローチを採用することで、ZBB を導入するメリットがより明確に感じられるだけでなく、混乱を最小限に抑えながらコスト削減の効果を最大化できます。
  • プロセスを単独で進めない:複数部門にまたがるプロジェクト チームを結成しましょう。財務、IT、その他の関連するビジネス ユニットのメンバー、そして、経営幹部からもチームに参加してもらうことが理想的です。ZBB の核心には、問題意識とレビューのプロセスがあります。部門が行うすべての活用を精査し、それらを中止できないか、又はより低コストで実施できないかを検討します。
  • 適切な計画プラットフォームを選択する:ZBB の成功は、活動の規模、生産性、投入コストなど、コストへの影響力の高い要素について詳細な分析データを獲得できるかどうかにかかっています。こうしたデータは、従来のプランニング ソフトウェアや予算編成ソフトウェアには一切含まれていませんでした。こうした旧型のシステムに含まれるのは集計後の財務データのみであり、かなりの量のデータを表計算シートなどの他の場所から補う必要もあります。こうした補助的な表計算シートにあるデータを操作するとなると、作業はさらに複雑になり、ZBB での労力も増えてしまいます。しかし、単一の財務計画/分析プラットフォームに運用および財務に関する詳細データをすべて集約させれば、この問題は解決できます。
  • 持続可能な計画を立てる:一つの ZBB プロジェクトを実行し、成功を収めたら、他のビジネス ユニットや経費カテゴリーにも導入範囲を拡大してスキルを保ちましょう。前回のプロジェクトを振り返り、コスト削減効果を維持することも重要です。また、ZBB を一時的に停止することは効果的ではありません。ZBB には、さまざまな活動、それらに起因するリソースのニーズ、そしてそのニーズに起因する経費という因果関係が含まれているため、ZBB モデルを活用すれば、ドライバーに基づく計画/予算編成モデルを容易に作成でき、既存の FP&A プロセスを補強する、又は既存のプロセスに取って代わる効果的な仕組みを確立できる可能性があるからです。ZBB プロジェクトがうまくいけば、社内のコスト管理の意識も高まるでしょう。ただし、導入の終了後、企業が年間計画や予算編成に再び従来型の増分アプローチを採用するようになれば、こうした意識は定着しません。
     

ゼロベース予算編成を始める方法

  • ZBB と FP&A を統合する:ZBB は、現行の計画/予算編成サイクルに取って代わるものではなく、戦略的に重要な活動やイニシアティブにおける支出を調整し直すために、数年おきに実行される補助的なプロセスと捉えましょう。
  • 投資利益の最大化に焦点を当てる: 多くの企業は、SG&A (販売費及び一般管理費) など、金額の大きな間接費が発生し、その正当性が明確に把握されていない経費分野に限定して ZBB を利用しています。こうしたアプローチを取ることで、企業の特定分野に焦点を当てることが可能になり、顧客と直接接する事業部門における混乱を抑えながら、少ない投資で最大の利益を得ることができます。また、新規事業や追加の資金が必要な場合にのみ ZBB を利用し、継続的な活動に対しては他の予算編成方式を採用している企業もあります。
  • 運用および財務データを一つのプラットフォームで一元管理する: ZBB を成功させるには、マネージャー陣がコストへの影響力の高い要素を詳細に理解し、確認できる体制を整えることが重要です。つまり、コストの詳細 (従業員あたりの経費、出張費、マーケティング キャンペーンの経費など) まで把握し、活動の規模や生産性、リソースの活用状態などのデータに容易にアクセスできる環境です。
  • モデリングを簡潔にする:活動の規模と、その実行のために必要なリソース及び人員との間の因果関係をモデル化できる機能は非常に重要です。マネージャー陣は、活動規模やサービス水準の変更がコストにどう影響するか見極め、データに基づく意思決定を行う必要があります。
  • ZBB モデルを FP&A のルーチン プロセスに再利用する: 企業が増分アプローチを採用し、前年の実績データに基づいてプランニングや予算編成している場合、ZBB モデルは、因果関係を示し、異なる事業部門の活動に関連性をもたせる初の全社的なモデルとなるでしょう。必要に応じて ZBB モデルを活用し、年間予算編成やローリング フォーキャストのプロセスをサポートすることで、FP&A チームはより効果的にプロセスを進め、詳細なインサイトを獲得できるはずです。このように、モデルを再利用できることを考えれば、ZBBはもはや単独で機能するアプローチではなく、むしろ企業の計画/予算編成の変革に向けた最初の一歩と言え、企業のプランニング プロセスを完全に統合する足がかりとなりえるのです。
     

ZBB を成功に導くには、高機能かつ柔軟な計画ソリューションを利用してプロセスをモデル化し、実行する必要があります。クラウド ネイティブのソリューションである Anaplan コネクテッド プランニング プラットフォームがあれば、現代の変化の激しいビジネス環境においても、効果的な ZBB 方式を取り入れ、サポートし、実行できます。

ZBB(ゼロベース予算)は企業競争力を生み出す予算編成が可能