特殊構造で複雑な損益管理業務を3カ月でシステム化

大規模な損益管理をExcelからAnaplanに移行

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グローバルにデジタルサービスを提供し、ITサービス分野において国内トップクラスのシェアを誇る富士通株式会社(以下、富士通)。同社のデータセンターファシリティ事業部では、Excelによる損益の予実管理に限界を感じながらも、システム化を何度も断念していた。しかし、Anaplanの活用によりわずか3カ月で脱Excel管理を実現し、データドリブンによる意思決定支援の仕組みを構築した。


Anaplanの活用を通して、経営層と同じように、担当者一人一人が事業をより自分事として考えられるようになり、マインドが変わっていくと思います。
データセンターファシリティ事業部 新夕 和弘 氏

月間304時間を削減

システム化で従来のExcel作業を70%以上削減し業務を効率化

毎月の確認会議を廃止

データのリアルタイム反映により、毎月の集計作業や確認会が不要に

属人処理を排除

ブラックボックスの温床だった担当者依存の体制からチーム統制へ


Excel連携による損益管理の限界に直面

データセンター業務でファシリティの維持管理を行っている富士通のデータセンターファシリティ事業部は、大規模な予実を細かく管理しながら事業計画を立案している。

同社の損益管理は、顧客別の「プロジェクト損益」とデータセンターの基盤機能の維持管理にかかるコストの「発生吸収差額」という2軸の特殊な構造を持ち、約60個のExcelファイルが連携するバケツリレー方式で行われていた。20~30種類のコスト品目と、数百から数千におよぶ案件ごとの費用を非常に多くの部員が手動で更新・連携。毎月数十名の関係者が集まる予算確認会議を開き、更新内容などのヒアリングを実施していた。さらに、案件に固有のIDが振られていないため、同一案件を継続的に管理することが困難だった。

データセンターファシリティ事業部の土橋 勇樹 氏は「更新や集計、分析を手作業で行っていたため、最新の予実をすぐに把握・考察することができない状態でした。過去にシステム化の計画は何度も上がりましたが、あまりにも複雑な構造のためコスト面の制約なども大きく、実現には至りませんでした」と当時を振り返る。

 

Anaplanでデータドリブンでの意思決定を目指す

転機が訪れたのは2022年度第4四半期に開催された、Anaplanに特化した社内ハッカソンだった。データセンター事業部門のチームはAnaplanを活用した損益管理のExcelモデルを作成し、優勝したのだ。これを契機にボトムアップの変革がスタートし、Anaplanのサポートを受けながら導入が進められた。Excelバケツリレーからの脱却、製造損益の可視化と管理、計画業務の効率化を達成するだけでなく、このプロジェクトは、ビジネスに貢献する成果を短期間で実現する必要があった。そのため、データセンター事業部門で初となるアジャイル開発を採用。3カ月という短期間でAnaplanを実装し、運用を開始すること、変革後は試算通り毎月約2人月削減となることを厳守事項とした。

また、「データドリブン経営を実現する」という全社のビジョンを見据えて、経営層の確認単位となるデータセンタービジネス領域にまで変革のスコープを拡大。実際のAnaplan構築時には、「売上総利益」を確実かつリアルタイムに可視化できることを必須とし、スプリントを回しながら要望の優先度が高い機能を可能な限り実装していった。

 

バケツリレーから脱却し月間304時間の工数削減

Anaplan導入により各案件に固有のIDが付与され、月をまたいでも時点軸で管理・分析が可能となり、視覚効果によって変更箇所が一目瞭然となった。データセンターファシリティ事業部の新夕 和弘 氏は「利用者の方から、予実の差異がとても見やすくなったという声をいただいています」と手応えを語る。

さらに、Anaplanで実現した3次元データ管理により、案件軸、期間軸、時点軸を様々な組合せで参照できるようになった。年初目標や予算との比較もワンクリックで切り替えられる。体制面も担当者依存からチーム統制へ移行。リアルタイム性も実現したことで、更新状況を確認するために行われていた予算確認会議が廃止された。新夕氏は「Anaplanの活用を通して、経営層と同じように、担当者一人一人が事業をより自分事として考えられるようになり、マインドが変わっていくと思います」と語る。

こうして、同社は業務工数にして月間304時間の削減を達成。該当業務の72%を削減し、当初想定よりも4%の改善が見られた。コア業務の案件ごとの予算計画」では、更新履歴も管理できるようになった。また、属人化していた経理部門の処理を可視化し、機械的な集計を実現。ブラックボックス化していた発生吸収差額の集計ロジックも改善された。

データセンターファシリティ事業部の猪股 瞬 氏は、DX成功の要因に「一人一人が今を疑いゼロベースで考える」「短納期でスピーディーに変える」「どんどん使って慣れる・効果を享受する」の3点を挙げる。その上で、「Anaplan導入は変革の契機に過ぎません。環境・エネルギーデータなどにも展開し、データドリブンな事業戦略の実現を目指します」と、引き続き変革に取り組む意欲を示した。

富士通はAnaplanの実践者として得た知見を生かし、お客様の業務変革も支援していく方針だ。


Fujitsu Building
Aerial view of a landscaped park with winding paths, trees, and seating areas.