近年、米国ではエアコンの使用が急増しており、テキサス州に本拠を置く住宅用および軽量業務用 HVAC (空調機器システム) メーカーの Daikin Comfort Technologies 社ではビジネスが盛況です。日本を拠点とするダイキン工業社が 2013 年に同社 (当時は Goodman Manufacturing 社) を買収して以来、北米での売上高は 3 倍になり、さらに 10 件の M&A を行っています。「さまざまな変化があり、非常に複雑でした」と財務および物流担当バイス プレジデントのビリー・シップレイ (Billy Shipley) 氏は述べています。日本のダイキン社のグローバル担当役員は、同氏のチームに財務規律と明確でタイムリーな報告を期待しており「そのため、財務データと、財務結果を左右する経営指標を把握することが不可欠なのです」と指摘します。
巨大な規模であることが複雑さを助長
Daikin 社のビジネスは多面的で規模が巨大ため、そういった財務関連情報を把握することは容易なことではありません。同社は、年間約 500 万台の HVAC ユニットを製造しているだけでなく、米国内で製品を顧客に届けるための大規模な物流網を運営しています。同社では全国 450 か所以上の拠点での販売を含め、複数の収益源から、膨大な量の収益データが生成されます。
また、IT から人事、製造、物流に至るまで、会社全体で 19 あるコストセンターも大量の情報のソースとなっていて、毎週、財務フォーキャストにデータを提供しています。経営企画チームはそのデータをまとめて、毎週 CEO に提示する必要があります。スプレッドシートをメールでやり取りしていた頃は、このプロセスは、常に錯綜していました。「疑問点や腑に落ちない点があった場合、チームが会議の前にそれをフォロー アップすることは非常に困難でした」と、経営企画担当バイス プレジデントのジェニファー・ルブラン (Jennifer Leblanc) 氏は振り返ります。
営業、生産、財務を統合
経営企画チームは、これらの課題に対処するため、2019 年初頭に Anaplan の使用を開始しました。「Daikin 社では当初、Anaplan は財務計画ツールだったのですが、その後、組織全体で活用されるようになりました」とシップレイ氏は話します。 この Anaplan 環境には現在、ファイナンシャル プランニング及びアナリシス (FP&A)、ワークフォース計画、営業およびインセンティブ報酬計画、サプライチェーン/営業/オペレーション計画 (S&OP) のユースケースが含まれています。
Anaplan のモデルは重要なデータを共有します。たとえば、営業実績 (各営業チームがそれぞれの数値を Anaplan に直接入力) は、週次フォーキャストと財務計画に反映されるだけでなく、生産計画の策定にも役立ちます。さらに需要計画が、取引量に応じて微調整されます。「収益報告、営業および経営計画、財務報告すべてを Anaplan で連携することで、これらからさらに多くのメリットが得られています」とルブラン氏は言います。「より適切な意思決定を行え、余剰在庫と陳腐化在庫を削減でき、適切な製品が適切な場所にあるため販売機会も増えています」
連携とコラボレーションによって、週次フォーキャストも合理化されています。19 のコスト センターのオーナーは、直接 Anaplan にデータを入力し、それが完了したらクリックで経営企画チームに通知します。こうすることで、CEO に正確、完全かつタイムリーな報告ができています。ただし、このプロセスはこれで終わりではありません。この情報はまた、潜在的なボトルネックやその他の問題を特定して、リスクを軽減することにも役立ちます。「私たちは毎週、これら 19 のレベニューおよびコスト センターすべてとコミュニケーションを取っているため、何か計画から外れたことがあれば、すぐに軌道に戻せます」とルブラン氏は説明します。
コネクテッド プランニングで意思決定が向上
ルブラン氏の経営企画チームが貴重なデータの山から作成した Anaplan のエグゼクティブ ダッシュボードは、会社全体の意思決定者にとってなくてはならないツールとなっています。「毎朝、複数のエグゼクティブたちが、私たちが作成したレポートを見ています」と同氏は言います。「レポートを基にその日の活動について決定しているのです」
Daikin 社のデータ管理および戦略担当バイス プレジデントであるマーク・ピアソン (Mark Pearson) 氏は、社内のあらゆるレベルの人が Anaplan ソリューションから利益を得ていると指摘します。「個々のチーム メンバーが、良質でクリーンな、管理されたデータにアクセスできることは、チーム メンバーの効率向上を後押しするためには欠かせません。しかし、そのデータはチームにも提供され、他のチームとのコラボレーションにも貢献します。またエグゼクティブは、Anaplan プラットフォームが提供するデータのおかげで、より良い意思決定を行うことができています」とピアソン氏は述べています。
つまり Daikin 社では、最も必要なときに、最も必要な場所で、ビジネスの俊敏性が発揮できるのです。シップレイ氏は次のように述べています。「Anaplan が支援してくれているのは、環境が急速に変化する中でビジネスを動かすことです。Anaplan があればデータが可視化されるので、未来を計画して、正しい方向に会社を導けます」